VIG(バンガード・米国増配株式ETF)に対する期待とジレンマ 🌟

株式と投信

今日も皆さまお疲れ様です、マルクです。🦌

VIG(バンガード・米国増配株式ETF)は、安定した増配と低コストが特徴の人気ETFです。
しかし、この魅力的な投資先にも期待とともにジレンマがあります。
今回は、VIGの特長や抱える課題について掘り下げていきます。

VIGの基本スペック ✨

基本情報

項目 内容
ティッカーシンボル VIG
運用会社 Vanguard Group
設定日 2006年4月21日
運用総資産(AUM) 700億ドル(2024年時点)
連動指数 S&P U.S. Dividend Growers Index
対象地域 アメリカ
経費率(手数料) 0.06%(非常に低コスト)
配当頻度 四半期ごと

投資戦略

  • 目的
    VIGは配当成長株投資を目的としたETFで、過去10年以上連続で配当を増やしている米国企業を対象にしています。

    • 配当の安定性と成長性を重視。
    • 高配当株ではなく、**「配当成長株」**にフォーカス。
  • 構成銘柄

出典:投資の森

上位10銘柄の構成、意外とご存じ有名企業が多いのではないでしょうか?

  • セクター配分
セクター 比率(例)
情報技術 約22%
ヘルスケア 約18%
生活必需品 約14%
金融 約12%
その他 約34%

 

VIGの魅力と期待 🏆

低い経費率

VIGは経費率が0.06%と非常に低く、長期投資においてコストを抑えることができます。この低コストは、他のETFと比較しても大きなアドバンテージであり、投資家にとって魅力的なポイントです。

安定した増配実績

VIGは、10年以上連続で増配を行っている企業に投資しています。過去10年間の平均増配率は約8.85%であり、安定した配当金の成長が期待できます。このような企業は、財務基盤がしっかりしており、株主還元にも積極的です。

トータルリターンの期待

VIGは配当だけでなく、株価の上昇も期待できる点が魅力です。過去のパフォーマンスでは、S&P500を上回るトータルリターンを記録したこともあります。これにより、安定性と成長性を兼ね備えた投資対象として注目されています。

市場下落時の耐性

連続増配企業は、一般的に市場が下落した際にも比較的安定したパフォーマンスを示します。例えば、コロナショック時にはVIGの下落率が他のETFよりも小さかったことが特徴です。市場の混乱時にリスクを軽減したい投資家には、大きな安心感を提供します。

VIGのデメリット ⚖️

成長性の限界

安定した企業に投資するVIGですが、その分急成長する企業へのエクスポージャーは限定的です。これにより、ハイリスク・ハイリターンを求める投資家には物足りないと感じられることがあります。

セクター集中リスク

VIGは特定のセクター、特に生活必需品やヘルスケアなどの分野に偏る傾向があります。これにより、セクター全体が不調な場合にはリターンが抑制されるリスクがあります。

インフレへの懸念

インフレが進行する環境下では、配当利回りの魅力が相対的に低下する可能性があります。VIGの配当利回りは現在約2%程度ですが、インフレ率がこれを上回る場合には実質リターンが減少することが懸念されます。

VIGの過去パフォーマンス検証📊

改めてVIGの過去10年間パフォーマンスをVOO比較で見ていきましょう。
青がVIG、緑がVOOです。

微差ではありますが長期ではVOO優勢ですね(上記は配当金再投資済みの、トータルリターンです)

年間騰落率ではどうでしょうか?
なるほどボラティリティはやはりVOOの方が大きいようです、でも値動きが近しいことも分かりますね。

最後に暴落時のドローダウン傾向です。
こちらもVOOよりは下げが小さいですね、ただほぼタイミング連動しているのが気になります。

そもそもVIGに何を期待しているのかを考える💡

VIGに限らず株式、ETF、投資信託への投資には必ず目的意識が重要です。
わたしがよくSNSやWeb記事で見かけるのが、以下の様なメッセージです。

『VIGの対象はS&P500のなかでも業績安定している選ばれし企業』
『長期的に成長しながらも毎年利益を株主還元している優良な企業』
『つまりはキャピタルゲインとインカムゲイン両方の恩恵を受けられる』

ふむふむなるほどですね…🦌
まず、どれも上述メリットに書いている通り概ね事実だとは思います。

しかしここで一旦冷静になって欲しいのですが・・・本稿基本スペックにも書いた通り、
VIGは高配当株ではなく、**「配当成長株」**なのです。

つまりVIGを買うという事は、
インカムゲインを成長させることができる会社のキャピタルゲインに賭けているとも言えるのではないでしょうか。
あらためてわたしの考えを言わせていただくと
①配当を成長し続けられるということと、その会社の業績が成長し続けられることは別の事象です。
②そして株価が上がり続けるかどうか、それもまた別の話だという事は理解してください(もちろん相関はあります)

マルクは以前こちらにも書いた通り、配当目的の投資方針は大賛成です。しかしいま一度考えて欲しいのです。

なぜ連続増配する企業が良い企業なのでしょうか?
配当を出し続けるということは企業成長なのでしょうか?
成長しない事をトレードオフに配当を差し出しているなら、逆に配当を出すことで成長できていないのでは?
それはパラドックス、あるいはジレンマなのかもしれませんね?
本来、分散効果があるETFにおいてインカムも、キャピタルも同じ一つのバスケットに入れる必要はあるのでしょうか?

私の主張は常に同じで『なぜこれに投資しているかの理由を理解・説明できること』です。
シンプルな理由であればあるほど良いと思います。
なんか良さそう、と言うだけで買って自らポートフォリオを難しくしていませんか?という事だけ言わせてください。
もちろんVIGを否定したいわけではありません。
VIGでなくてはならない!という理由が明確な方であれば、むしろ買っていくべきですし支持します。

まとめ 📝

  • VIGは低コストで安定した増配を提供する魅力的なETFです。

  • 配当と株価の両面でトータルリターンが期待できます。

  • 成長性やセクター分散に課題があるため、投資目的とリスク許容度をしっかり考慮する必要があります。

  • 長期投資ポートフォリオにも向いています。しかしこれも一種のテーマETFであることは理解しましょう。

ETFや投信を、まるで個別株の様に色々組み合わせ運用している人も多いです
気持ちは分かりますが、分散 x 分散することに本当に意味はありますか?
シンプル イズ ベストですよ!

それでは皆様、おやすみなさい。
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